WEEK 8 / 事前学習 最終回
アストロキャンプ2026 / 衛星開発ゼミ
0.1 前回までと今回の位置づけ
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標準の定義を読み替えると判断の元手に行き着き、その元手が有限であることからトレードオフが生まれ、その正体は依存関係だと分かる。
1.1 標準の定義
プロジェクトの要求事項を満たすために、知識・スキル・ツール・技法をプロジェクト活動へ適用すること。
PMI(Project Management Institute)によるプロジェクトマネジメントの定義。PMI は標準体系 PMBOK ガイド(Project Management Body of Knowledge、現行第8版)をまとめた団体出典:PMI, “What Is Project Management?”
つまりどういうこと?
1.2 定義の読み替え
プロジェクトの要求事項を満たすために、知識・スキル・ツール・技法をプロジェクト活動に適用すること。
1.3 プロジェクト資源
では、その判断は何に対して行うのか。
1.4 トレードオフ
1.5 トレードオフの正体
両立できないように見える
依存関係があるから競合してトレードオフが生まれる
1.6 削る前に問うこと
1.7 選ぶときの基準
1.8 参考:PMBOK の全体像と今日の通り道
PMBOK 第8版の7つのパフォーマンス・ドメイン / 並行して走り続ける
横=並行して管理し続けるドメイン、重ねた①②③=本回で決めていく順番。独自の分類は立てず、標準の区分の上に通り道を描いている
1.9 この章のまとめ
実際の活動=判断に根拠を持たせ、前に進め続けること。元手のプロジェクト資源(人・時間・予算)は有限で、判断は配る先+配り方の両方。
トレードオフの正体は、依存の構造にある。ほぐせば消える対立と、外から固定されて残る本物の制約を見分ける。
削るのは最後の手段。まず依存を解き、次にリスクに備え、それでも足りないときに削る。
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今日の中心。まず依存を読み、そのうえで2つの手でほどく。
2.1 密結合の3つの難しさ
① 絡む相手が多い。サブシステムの数だけ依存の相手がいる
② 内部事情まで絡む。例:姿勢角を返す関数の入出力で済むはずが、換算・フィルタの実装まで待ってしまう
③ 依存が堂々巡りする。互いに相手の完成を待つ循環ができ、両方が止まる
2.2 堂々巡り(循環依存)
互いの完成を待ち、両方が止まる。誰も怠けていないのに、何も進まない。
2.3 待ちが資源を捨てる
待っている間も、Cさんの時間は消費され続ける。作業の失敗と違い、やり直しても何も残らない
2.4 順番と完了時期
カレーライスとサラダを作る。工程はどちらも同じで、着手の順番だけを変える。
2.5 依存を読む(PERT 図とクリティカルパス)
2.6 ガントチャートとの対比
いつ何をするかと進捗は見える。矢印がないので、炊飯が完了時期を決めていることは読めない。
依存の線と最長経路が見える。時間軸は持たないので、着手の時刻は別に決める。
全タスクがテレコマの完成に依存する自分たちの計画では、依存を描けない図は計画の最大の敵を映せない。
2.7 参考:PDM・CPM と本来の PERT
ふだんの呼び名は「PERT 図」でよい。呼び名の違いで詰まる必要はない。
2.8 参考:ノードの書き分け
2.9 参考:ほかのスケジュール管理の手法
タスクを時間軸上のバーで並べる図
○ 大人数・長期の進捗共有に強い
△ 依存関係が主役ではない。少人数・短期間では得るものが少ない
Work Breakdown Structure。成果物・作業を階層的に分解して網羅する図
○ 抜け漏れの点検に強く、PERT 図のノードを書き出す下ごしらえになる
△ 一度で分解し切るのは難しい。粗く始めて更新し続ける
節目(マイルストーン)だけを時間軸に打つ図
○ 長期日程が一目で共有できる
△ 途中の作業量や依存は見えない。少人数・短期間では得るものが少ない
「未着手・作業中・完了」の列でタスク札を動かす板
○ いま誰が何をしているかが見える
△ 完了時期の見通しは示さない
2.10 何からやるか
作業量は同じでも、順番で完了時期は変わる。では、何を根拠に順番を決めるか。
2.11 優先度の3つの型
3つとも、依存の構造とリスクから順番の根拠を取っている。難しさや得意さは、順番の根拠にならない。
2.12 ほどく2つの手
2.13 手① 内部事情を切り離す
パケットフォーマットの合意に最低限含めるもの (行の中身は例。何を載せるかはチームの設計判断)
Week 7 の「呼ぶ側を変えずに中身を差し替えられる」を、コードの層からチームの層へ持ち上げた操作。契約まで固めることは、要求と制約を人にもAIにも渡せる形にする作業でもある。
2.14 手② 輪を切る
決め打ちを動かす道具が、ダミーデータとモック(Week 7)。実物ができたら差し替える。あわせて、依存の向きは一方向に揃え、最小の経路を先に1本通してから太らせる。
2.15 Conway の法則
システムを設計する組織は、その組織のコミュニケーション構造を写した構造の設計を生む(Conway, 1968)。
2.16 逆コンウェイ
上:望むシステム構造 下:そこから導く分担(2.15 の逆向き)
2.17 この章のまとめ
待ちが資源を最も大きく捨てる。マネジメントの本質はタスクの依存関係をほどくこと。
クリティカルパスが完了時期を決める。「何からやるか」は、経路上・リスクの高さ・依存の根元で決める。
ほどく手は2つ。切り離し(インターフェース)・輪を切る(決め打ち)。可視化(PERT 図)は、ほどく前に依存を読む道具。
分担の線がシステムの分かれ目になる。割り当てと、どこで依存を切るかは1つの判断。
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依存をほどいても、見積もりは外れる。手戻りと停止に先に手を打ち、残量を見張る。
3.1 不確実性とリスク
不確実性(上位の語)
リスク=名指しできるもの
洗い出して評価し、対応を作れる事象
残り=名指しできない外れ → 使い道を決めない資源で備える
3.2 リスクマネジメントの3段階
Week 6 で技術的な壊れ方(故障モード)に当てたこの形を、計画・スケジュール・資源へ当てる。例は、電池が想定より持たない、部品が壊れる、メンバーが1日離脱する。
3.3 対応の4つの型
備えないという判断も、根拠を言えるなら判断である。起こりやすさも影響も小さいものに資源を割くほうが、配り方としては下手になる。
3.4 マージン
使い道が決まっていないことが機能。どんな外れ方にも充てられる
マージンは怠慢ではなく、有限の資源の配分に関する意思決定である。
3.5 参考:三点見積もり
カレーの煮込み(2.5 の例)を1点の20分ではなく、15〜30分の幅で扱う。この3点を PERT 図に載せた派生が、本来の PERT(2.7)。
3.6 計画の窓
運用中、衛星の中は覗けない。テレメトリだけが観測の窓。
計画のズレは、マージンの残量とクリティカルパス上の進み具合に現れる。
3.7 スナップショット
3.8 決め直しの輪
3.9 計画の立て方
どれを採るかは、全体像がどれだけ見えているかで決まる設計判断。本ゼミでは適応型を中心に、固定された日程や合流点には予測型の考え方も使う。どの部分を固定し、どの部分を反復するかも設計判断で、ダブルダイヤモンドを繰り返す形(4.2)と同じ向き。
3.10 この章のまとめ
名指しできるリスクは、洗い出して評価して対応を決める。対応の型は、避ける・減らす・移す・受け入れるの4つ。
名指しできない残りには、使い道を決めない資源を残す。これがマージン。使い道が決まっていないことが機能。
マージンは、残量を見張って初めて機能する。計画の窓はマージンの残量とクリティカルパス上の進み具合。更新前の計画はスナップショットとして残す。
決め直したら、また取りこぼしを潰す段へ戻る。この輪が回り続けることが「前に進め続ける」の中身。
まとめ
判断に根拠を持たせ、前に進め続ける。元手のプロジェクト資源(人・時間・予算)は有限で、判断は配る先+配り方。
トレードオフの正体は、依存の構造にある。ほぐせば消える対立と、外から固定されて残る本物の制約を見分ける。
削る前に、取りこぼしを潰す。依存は PERT 図で読み、インターフェースとダミーの2つの手でほどく。
リスクは名指しして対応を作り、残りはマージンで備える。残量を見張り、更新前の計画はスナップショットとして残して決め直す。決め直したら取りこぼしへ戻り、この輪が回り続けることが「前に進め続ける」の中身。
宿題
模擬衛星の初回打ち上げに必要な機能を考える
お題は Week 6 と同じで、今日はどう進めるか(依存と計画)
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宿題や今後の作業期間で必要なスタンス
4.1 AIとの協働モデル
「毎回チェック」は量で破綻し、「全部信じる」は判断の明け渡し。審査の根拠は設計されていない。
人間が要求と契約(テスト・インターフェース)を固め、内側を委任する。人間の役割は「広げたか、何で確かめたか」を説明できること。
4.2 ダブルダイヤモンド
この形を1周で終えず繰り返す。作業期間の計画づくりが、このループの設計をAIと対等に分担する最初の実践になる。
付録 出典